こだわりぬいた本格サウナを自邸に
毎日こもれるプライベート空間を入手

こだわりぬいた本格サウナを自邸に
毎日こもれるプライベート空間を入手

東京都練馬区/戸建て/約36坪(約120㎡)

都会でありながら緑が豊かな東京北西部のエリア。ゆったりとした空気が流れるこの地に理想的な中古物件を見つけ、夢実現のためフルリノベーションを決行したTさん。このリノベーションで、なんと自分専用の本格サウナを設えました。多くの“サウナー”たちが憧れるであろう、まさに“サウナ御殿”。できあがるまでの一部始終を語ってもらいました。

家族構成:夫婦(40代)+ 子ども5人
築年数:40年(購入時)
主なリノベーション:フルリノベーション
打ち合わせ期間:約6カ月 工期:約7カ月

リノベーション前提で住宅探しを始めた

なぜ、中古の戸建てを購入し、リノベーションをすることにしたのですか?

Tさん:子どもが5人いることもあり、今まで住んでいた家が手狭になったので家探しを始めました。新築も含め検討していたのですが、ファミリーでも住みやすそうなこの地で理想的な造りの中古物件を見つけたんです。

今回家づくりをするにあたってどうしても外せなかったのが、家族全員がそろってくつろげる広い空間とサウナ。この物件はもともと1階がピアノ教室として使われていて、柱が少なく自由にリノベーションできそうな造りだったんです。私たちが大事にしていたこの2つの目的が叶えられそうだというのが、決め手となりました。

広々とした1Fのリビングは、7人家族が集まってもゆったりと過ごせる空間。

リノベーションをCo-DESIGN OFFICEに依頼したきっかけは?

Tさん:3年ほど前からサウナにハマっており、毎日会社帰りに2時間はサウナに入ってから帰るという生活を送っていました。毎日入るのであれば、家にあったほうがいい。しかも気に入ったものだけで設えた完全なプライベートサウナがつくれたらどんなにいいだろうと。

まずは、サウナ仲間の大工の友人に相談し、その友人にCo-DESIGN OFFICEさんを紹介してもらったんです。

そこで提案してくださったプランがとても良かったので、サウナ以外のところもすべてリノベーションをお願いすることになりました。

実は、並行していくつかサウナ専門の業者にも相談していたのですが、希望を伝えると日本のサウナ業界の常識からか、ハナから「できない」「無理です」と言われてしまうことが多かったんです。

でも、Co-DESIGN OFFICEさんは、こちらの希望をじっくり聞いてくださって、それらをできるだけ実現できるようにじっくり案を練ってくださいました。

海外製機材から北海道のサウナストーンまで世界中から取り寄せた

どのようなサウナをつくりたいと考えていたのですか?

Tさん:ロウリュもできる本格的なフィンランド風サウナです。細部まで妥協したくなかったので、機材も海外製のものを探して取り寄せ、ロウリュ用のサウナストーンは、個人向けに販売はしていないという北海道の採掘場に直接掛け合い、希少な“かんらん岩“を分けてもらいました。

水蒸気をうまく循環させるための遮熱板も通常5千円くらいで買えるものなのですが、おしゃれなものにしたかったので、福岡県の金属加工会社さんに無理を言って特注で約10万円で作ってもらいました。

圧迫感が出ないようにバスルーム側の扉に窓ガラスを仕込んだのもポイントです。しかし、熱が逃げないよう密閉しなければいけないので、ペアガラスにし、接続部に隙間ができないようきっちり計算していただきました。

さらに入り口の扉の下部にはルーバースリットを、天井には排気口を設け、内部の空気循環まで考慮いただくなど、Co-DESIGN OFFICEさんには多大なるご尽力をいただきました。

床タイルには排水口を設け、サウナ全体の水洗いができるようにして頂いたお陰で、とても清潔に保てている点も気に入っています。

国内外の商品を自身でリサーチし、気に入ったものを取り寄せた唯一無二のサウナが出来上がった。

サウナだけでなく、お風呂にもこだわったそうですね。

Tさん: サウナに水風呂は欠かせません。サウナからお風呂にそのまま行けるように動線も考えました。お風呂は、特注の檜風呂にしたかったのですが、掃除が大変だということで、上級モデルのユニットバスにしました。浴槽に檜の枠と、床や壁を十和田石にするというオプションをつけて旅館風に作っていただきました。檜は、メンテナンス性と香りを重視して、腐朽しにくいと言われている奈良の吉野檜を使用しています。

さらに水風呂はキンキンに冷えていないと嫌なのですが、浴室ユニットの構造上チラー(水風呂冷水機)をつけることができなかったんです。そのため脱衣所に業務用の製氷器も置けるように配管を作ってもらいました。おかげさまで25kgの氷を常にストックできるようになりました。毎日たくさん使うので、それでもすぐなくなってしまうんですけど(笑)。

家族もそれぞれ暮らしやすい場所を手に入れた

家の全体的なデザインも北欧風にこだわったそうですね。

Tさん:甘すぎない、モダンな北欧風のスタイルを目指しました。もともとルイスポールセンが好きだったので、リビングに「アーティチョーク」という照明を置きたかったんです。それを元に、Co-DESIGN OFFICEさんにはデザインを考えていただきました。

暮らし方はどのように変わりましたか?

Tさん:外のサウナに寄らずに帰り、じっくり家で堪能できるのがいいですね。湯冷めもしないし、そのままベッドに直行できるのが最高です。最低でも寝る前に1回、時間があるときは朝と夜の1日2回と、毎日入っています。

奥様やお子さんの反応はいかがですか?

Tさん:サウナは僕しか入らないので、設計時点で妻に「サウナが広すぎる」と叱られてしまい……、予定より半分のサイズになりました。その分、パントリーやシュークローゼットを増やしました。妻は収納が増え、日々とても過ごしやすそうにしています。Co-DESIGN OFFICEさんは、そのあたりの妻の意向もしっかりと聞き出し、具現化してくださいました。

子どもたちも過ごしやすそうにしています。中学生の大きい子たちはプライベート空間ができて喜んでいますし、下の子達も毎日楽しそうにしています。これまでは、遊ぶ部屋が分散されていたのですが、みんなでリビングに集まって遊べるようになったのは良かったですね。お風呂を旅館風にしたことも効果的でした。

それまでお風呂を面倒くさがっていた子も進んで入浴するようになりました。みんなでお風呂に一緒に入って楽しそうに遊んでいる姿は、見ていてとても微笑ましいです。

旅館風の浴室は子ども達にも好評。

住んだ後のことまで考え抜いたリアルな設計

今後、この家とどのように付き合っていきたいですか?

Tさん: 子どもたちは今はまだサウナに興味がないようなのですが……、きっともう少ししたらその良さが分かるんじゃないかなと思っています。近い未来、息子と一緒にサウナに入って、ゆっくり語らう時間がやってくるのではないかな、と今から楽しみにしています。

最後に、これからリノベーションしようと思っている人に、アドバイスがあればお願いします。

Tさん:妥協しないことですね。やらないより、やって後悔したほうがいいと思います。予算面で、だいぶ取捨選択も迫られましたが、結果大幅に予算オーバーしてしまうほどやりたいものを詰め込みました。でも、ひとつも後悔なく、とても満足しています。

あとは、事前にスケジュールをしっかり把握しておくことは大事です。サウナにこだわったこともあり、引き渡しまで1年くらいかかってしまったんですが、当初そんなにかかるとは思っていなかったんです。そのため、前に住んでいた家との引き継ぎがうまくいかず、一時期一家7人で50㎡の賃貸マンションに住まざるを得なくなって……、狭くて大変でした。

でも、Co-DESIGN OFFICEさんに頼めて本当に良かったです。特にサウナに関してはたくさん要望を出しましたが、メンテナンスが大変なものはきっちりNGを出してくれましたし、素人では気づかない断熱の部分もしっかり考慮してくださったのもうれしかったです。おかげでサウナの真上の階の部屋に熱が漏れることもなく、夏場も全く気ならないほどでした。

住んだ後の生活のこともしっかり考えて綿密に設計してくださったおかげで、毎日快適に過ごせています。

取材・文/磯部麻衣  写真/影山優樹