私たちが細部にまで「こだわる」訳

私たちが細部にまで「こだわる」訳

 突然ですが、どうやら私たち2人は、結構ディテールにこだわるタイプなんだそうです。つくっているのは、特に奇をてらったようなものではなく、シンプルで暮らしやすい住まいなのですが、それにしてはかなりこだわってしまうようです。これまで当たり前だと思ってやってきたことですが、近ごろ同業者から驚きの声をいただくことが増えました。そんな私たちが、普段どこまで気にかけながら家づくりをしているのか。今回は、私たちの「細かなこだわり」についてお話ししたいと思います。

すべては上質で豊かな暮らしに直結する

 最近同業者に指摘され、自分たちの家づくりを振り返ることが増えたのですが、まず私たちの特徴として浮き彫りになったのが、通常、どこのハウスメーカーや施工会社にもある「標準仕様といったものがない」ということでした。

 何も考えずに同じものを選択していくのは楽ですし、施工のクオリティーがある程度担保できるという利点もあります。ただ、どの現場も画一的なおさまりを選択してしまうと、全体的にメリハリのないだらっとした印象になってしまうと考えています。結果、自分たちにも「いい仕事ができなかったな」という後悔が残ってしまうでしょう。だから私たちは固定観念を持たずに、目の前の現場に向き合い、都度面倒くさいことを面倒くさがらずにチャレンジしてきました。

 そこまでこだわる理由は、その積み重ねが「上質で豊かな暮らし」をつくり上げると信じているからなんです。

ダウンライトを変えて天井からノイズを消す

 ここからは、最近つくったお一人暮らし用の住まいを例に、どんなことにこだわってきているのかお伝えしたいと思います。

 この物件は、グレイッシュなトーンでまとめた上品ですっきりした空間に仕上げました。多くの方に好まれる雰囲気や使い勝手を目指し、さらに私たちらしいちょっとしたこだわりを十二分に詰め込んだ住まいです。

 まずは、天井のダウンライトは通常のものより直径が小さなものを採用しました。通常、住宅には、口径100mmのダウンライトを使うことが多いのですが、今回使ったのは、口径が75mmのもの。こちらの方が費用も高くなります。

 それでも少し小さいサイズのダウンライトを選んだのは、天井のノイズを少なくしたかったから。弊社のリノベーションでは間接照明も多用するので、ダウンライトを小さいサイズにしても、部屋全体の明るさもきちんと担保されます。

スイッチやコンセントは規定通りに配置しない

 電灯のスイッチやコンセントも、各会社で決まった高さに配置にされていることが多いのですが、私たちは、住む人に合わせて微妙に高さを変えています。

例えばこちらのスイッチは、一般的な高さより10cmほど下げて設置しました。目線の高さから外し、視界に入らないようにするためです。コンセントも10cmほど下げています。床から近い方が、ごちゃついた雰囲気が軽減されます。

 弊社のショールームのスイッチとコンセントが、同様の高さに設置されているので、実際にお客様に操作してもらって違和感ないかお伺いしています。

キッチンを見せ場に 壁の位置を微妙にずらす

 最もこだわったのは、キッチンです。やはり住まいは、LDKが要になりますから、キッチンを中心に見せ場を作りたかったという狙いがあります。

 まずは、使い勝手が良いように、Ⅱ型の造作キッチンを設えました。元々の配置だと冷蔵庫置き場が中途半端なところに設置されていて、無駄な空間が生まれていました。収納もしっかり確保できるよう、キッチン全体は広めに設計。壁を少しだけ移動させ、お風呂やトイレなどの水回りをややコンパクトに変更しました。

 キッチンの天板も厳選しました。最終的に、「ハイマックスM704 AURORA STONE GRA」という人工大理石を選定。選ぶものによってはチープになりがちな人工大理石ですが、こちらの商品は、細かな柄が無数に入っていて高級感があります。少々値は張りますが、上品で奥深い表情と色合いが魅力です。

 全体の印象を大きく司るフローリングは、LDKを中心にアッシュ材を選びました。最近よく選ばれるオーク系やチェリー系よりアッシュ材は、色が明るくやや黄味がかっていて木目がしっかり出るのが特徴です。

 以前、素材にとことんこだわるお客様がいて、オークより価格は上がりましたがこちらのアッシュ材のフローリングを選ばれました。

帰宅時のほっとする瞬間を想像して設計

 見せ場のLDKは、360度完璧であって欲しいと考えました。そこでリビングと廊下をつなぐドアをハイドアにし、天井いっぱいまで高さを引き延ばしました。施工の難易度も高くやや高価になりますが、広く視界が開けるので採用される方も多いドアです。

これが、廊下側からLDKを見た時の満足度に一役買っているんです。

 キッチンの水栓を浄水器一体型のグローエにしたのも、その観点から。こちらの製品は、立ち姿が美しく、横から見ても洗練された佇まいを醸し出します。帰宅時のほっとする瞬間を想像し、ハイドアの奥のキッチンは、横顔の美しさにこだわりました。

 他にも、もっともっとこだわった部分はあるのですが、全部ご紹介しているとかなりの文量になってしまうので、今回はここまでに。

 このように、私たちは一個一個の選択をしっかりと考えていきます。「神は細部に宿る」は、創業時からのポリシーの一つ。なかなか気づいてもらえないようなちょっとした部分にもこだわり続けてきました。これからもそのスタイルは変わらず、ひとつひとつを大切に積み重ねていきたいと思っています。