オンもオフも使いやすい抜け感のある家
オンもオフも使いやすい
抜け感のある家
東京都中央区/マンション/約 63 m²
下町情緒と都会的な華やかさが交差する中央区の⼀⾓。勤務地が近くにあるというSさん夫妻は、この町でヴィンテージマンションを購⼊し、フルリノベーションを⾏いました。「守りに⼊らず、今、⾃分たちが快適に暮らせる家を作りたい」という思いでつくり上げた家。理想の空間を⼿に⼊れるまでのリノベーションストーリーを語ってもらいました。
家族構成:夫婦(30代・40代)+⽝1匹、猫1匹
築年数:40年(購⼊時)
主なリノベーション:断熱改修を伴うフルリノベーション
打ち合わせ期間:約3カ⽉ ⼯期:約3カ⽉
2LDKを思い切ってワンフロアに
Co-DESIGN OFFICEに依頼したきっかけを教えてください。
Sさん:そもそもリノベーションをすることを前提に中古マンションの購⼊を決めていたので、実はお願いしようと思っていた会社がすでにあったんです。でも、不動産仲介会社の⽅に、「今はいろいろな会社があるので、紹介だけでもさせてもらえませんか?」と⾔われて、新たに3社紹介されました。そのうちの1 つがCo-DESIGN OFFICEさんだったんです。
4社ある中から、Co-DESIGN OFFICEを選んだということですね。決め⼿はなんだったのですか?
Sさん:Co-DESIGN OFFICEのお⼆⼈、斎藤さんと藤澤さんのお⼈柄です。正直、どこの会社もおしゃれで素敵でしたし、実績もあってしっかりしたところばかりだったのですが、お⼆⼈と私たちのフィーリングがピッタリ合った感じがしたんです。少しお話ししただけで誠実さが伝わってきて、安⼼して任せられると感じました。
リノベーションをするにあたって、⼤事にしていたことや絶対に譲れなかったポイントはありましたか?
Sさん:抜け感です。広くゆとりのある空間にしたかったので、もともと2LDKだった間取りを開放的なワンフロアにしました。実は不動産仲介会社さんからは、「ワンフロアは転売しにくい傾向があるので、部屋数は多いほうが良い」と⾔われていたんです。でも、売ること考えていたら守りに⼊ってしまうじゃないですか。そんな先のことは考えず、今⾃分たちが快適に過ごせるよう、全部⾃分たちの好きなようにやるって決めました。
アメリカンヴィンテージと北欧テイストをミックスしたこだわりの室内。ゆとりある空間を求め、もともと2LDKだった間取りをワンフロアにした。
ダイニングテーブルを無くすという
逆転の発想から⽣まれたお気に⼊りの場所
今回リノベーションした部分で⼀番のお気に⼊りの場所はどこですか?
Sさん:キッチン前のカウンターです。ここは、⾷事をする場所でもあり、仕事をする場所でもあります。使い勝⼿が抜群で、1⽇の滞在時間が⼀番⻑いところですね。正直それまでカウンターって作ってもあまり使われないイメージがあって、最初はカウンターなしでダイニングテーブルを置くつもりでした。でも部屋のサイズを考えると、ダイニングテーブルは圧迫感が出てしまいそうで……。ゆとりのある空間を⽬指していたので、その不安をCo-DESIGN OFFICE さんにお話ししました。そこで相談を重ねていって出来上がったのがこのカウンターです。
お客さんが来るといっても、時々ですし、来てもソファテーブルで過ごせばいいかなと。基本は2⼈で過ごすので、ダイニングテーブルはいらないという決断に⾄りました。
最初から⾷事だけでなく仕事もできるようにと考えて、カウンターの⾼さや奥⾏きにこだわりました。オフィスにあるデスクと同じくらいの奥⾏きがあったほうが、仕事がしやすい
んです。あとは、2⼈で同時に仕事ができるようにパソコン⽤のコンセントも2つ付けました。
デザインもとても気に⼊っていて、細い⽊の板をリブ状に並べてカーブをつけたデザインは、海外旅⾏に⾏った時のカフェで⾒たカウンターから着想を得ています。そこから国内外のカフェを訪れるたびにお気に⼊りのデザインを探しては写真を撮り、それをCo-DESIGNOFFICEさんに共有して、⼀から作っていただきました。
⾃分たちで理想のデザインを探し、⼀から作り付けたキッチン前カウンター。カーブを描く壁⾯の内側は、収納スペースにもなっていて実⽤的。
⼀点もののドアに合わせて全体のバランスを整えた
そのほかこだわったポイントはありますか?
Sさん:フローリングやドアなどの素材やデザインにもこだわりました。例えば、フローリングは厚さ2cmもある幅広の無垢のオーク材で、素⾜で歩いても⼼地よいものを選びました。
ウォークインクローゼットのドアもすごく気に⼊っているんですが、岡崎製材という会社のブランド「THE DOOR STORE」のものです。たまたまSNSで⾒つけて、かっこいいなと思ってショールームに⾜を運んだら、この⼀点もののドアに魅了されてしまって。企画の⽅がとてもこだわって作っていらして、取⼿ひとつとってもアメリカのヴィンテージのものを取り寄せた⼀点ものだったりするんです。なので、Co-DESIGN OFFICEさんとも情報を共有し、このドアを主役にして部屋全体の収納棚やキッチンカウンターの⾊を合わせていったんです。
もともとリノベーションしたいと思ったのは、⾃分好みのテイストにこだわってリノベーションを成功させた友⼈の家を訪れてから。⾃分の好みのものに囲まれて過ごすのって、すごく贅沢だなあと思って、私たちも細部にまでこだわりました。
家を購⼊してからは、3カ⽉ほど毎週末Co-DESIGN OFFICEさんとの打ち合わせやショールーム巡りをするという期間が続き、忙しかったのですがすごく楽しかったですね。
断熱改修と⼆重窓で、適温で過ごせる毎⽇に
リノベーションをする上で不安だったこと、困ったことはありましたか?
Sさん:知らない何かを始めるって不安がつきものですよね。リノベーションも例に漏れず、不安だらけでした。図⾯を⾒ても想像し難い部分もありますし、ちゃんと成功するのかな、思い通りにいくのかなと。SNS で流れてくる失敗例のような情報にも踊らされてさらに不安が募ってしまって……。細かいことでいうと、果たして収納はこれで⾜りるのかなとか、部屋の温度は快適に保たれるのかなとか、とにかく不安でいっぱいでした。
それまで住んでいた家は、全館空調が採⽤されていて各部屋の調節がしにくい家だったんです。なので、快適な温度で過ごせるかどうかはすごく気になっていて。それをお伝えしたら、Co-DESIGN OFFICEさんは断熱改修と⼆重窓を提案してくださいました。それらの性能については全く知識がなかったのですが、住んでみたら本当に快適で。夏場は暑くないですし、冬場も寒くない。特に⼆重窓は防⾳にもなるので、都会に建っているマンションですが、外の交通⾳も全く気にならないですし、採⽤して本当に良かったと思っています。
収納に関しても、作りすぎると⼤事にしたい抜け感を阻害してしまうし、最後まで不安でしたね。でも、その気持ちをきちんと伝えて、ウォークインクローゼットの上部の収納を有効活⽤できるように増やしていただいたり、収納の⼀つ⼀つ、使い勝⼿の良い奥⾏きやサイズ感を提案してくださったりしたので、住み始めてみたらまったく問題ありませんでした。
ワンフロアでも、⽇々の⽣活を邪魔しない照明テクニック
暮らし⽅はどのように変わりましたか?
Sさん:料理はあまり得意ではないのですが……、キッチンに⽴つのが楽しくなって、以前より⾃炊するようになりました。キッチンカウンターでご飯を⾷べたり仕事をしたりして、1⽇の終わりには2 ⼈でソファーに移動してテレビを⾒ながらゆったり過ごすのがルーティーンになっています。
あとは、ワンフロアに2⼈で住んでいるのに、それぞれの⾏動がそれぞれの邪魔をしない設計になっていたことに驚いています。例えば、1⼈は就寝していて1⼈は仕事をしているという時でも、睡眠の邪魔をしないような照明設計になっているんです。照明によって⾃然にゾーンが区切られるようになっていて、ベッドで寝ていても、リビング側の光が邪魔しないんですよ。
ベッドの上の照明も⾜元に設置してあって、横になっても光源が⽬に⼊りにくいグレアレスライトというものを選んでくださいました。照明の位置や種類にまで、細かくこだわってくださって本当にありがたいですね。それぞれの照明が細かく調光ができるのもうれしいポイントです。夜な夜な明るさを調整して、さまざまな⾓度から眺めては、「この部屋、本当にかっこいいなあ」と惚れ惚れしています(笑)。
最後に、これからリノベーションしようと思っている⼈に、アドバイスがあればお願いします。
Sさん:不安があることは、すべて伝える、わからないことは何でも聞くということですかね。Co-DESIGN OFFICEさんの場合は、「こんなこと聞いてもいいのかな」というようなことに対しても丁寧に答えてくださいました。気になることはちゃんとコミュニケーションをとった⽅がいいと思います。あとはできれば、Co-DESIGN OFFICEさんと⼀緒に物件選びからスタートできていたら、さらに良かったなと思いました。うちは正直その辺をあまり調べずに買ってしまって、結果的に問題なかったのですが、物件によっては理想通りのリノベが⾏えないこともあるようです。でも、私たちは理想通りの結果になり、おかげさまで本当に⽇々幸せな気持ちで暮らせています。
実は今うちの実家も、Co-DESIGN OFFICEさんにリノベーションを頼んでいるんです。我が家を⾒た両親がとても気に⼊って、Co-DESIGN OFFICEのお⼆⼈を紹介したら、やはりお⼈柄に魅了されたらしくて(笑)。実家の完成も楽しみですね。
取材・⽂/磯部⿇⾐ 写真/影⼭優樹