リノベーションとDIYで柔軟に変化していく家
リノベーションとDIYで柔軟に変化していく家

東京都武蔵野市/マンション/約70㎡
公園の緑と光が注ぎ込むマンションの一室で、理想の暮らしを実現させたIさんご夫婦。都会の利便性と緑豊かな自然が融合する街に建つ物件を部分リノベーションし、「自分たちらしさ」と「未来の家族像」を重ねました。DIYが得意な2人は、随所に手作りのものも設置。あたたかみのあるこの部屋で、リノベーションのきっかけから設計時の工夫、実際に暮らして見て感じたことまでをたっぷり伺いました。
家族構成:夫婦(30代)
築年数:38年(購入時)
主なリノベーション:洋室と和室を1室に拡大、クロス張替え、浴室交換
打ち合わせ期間:約1.5カ月 工期:約2.0カ月
楽しい街で楽しい家をつくりたい
リノベーションのきっかけを教えてください。
Iさん(奥様):それまで賃貸に住んでいたのですが、もう少し職場に通いやすくて、楽しい街で生活を整えたいなと思い、購入を踏まえて家探しを始めました。予算や立地の面で、新築は難しくて。そして、私がカフェみたいなところで仕事をするのが好きなので、間取りから自由に作れる中古マンションのリノベーションがいいなと思ったんです。あとは、周りにリノベーションを楽しんでいる友人がたくさんいて、その影響もありました。
Iさん(旦那様):前に住んでいた家が、ドアが少なくて、空間がつながっているユニークな間取りだったんです。そういう遊び心のある家が好きだったのでリノベーションならそれが実現できるかなと思いました。
リノベーションをするにあたって、特に大事にしていたことはありましたか?
Iさん(奥様):「楽しいリビング」を第一に考えました。私はカフェのような空間が好きで、リビングのオープンな空間に自分のワークスペースを設けました。壁で仕切るのではなく、空間がつながっている感じを大事にしたかったんです。将来子ども部屋としても活用できるかも、と考えています。
Iさん(旦那様):将来的に子どもが生まれた時に一緒に過ごせるよう、リビングは広く、柔軟に使える設計にしてもらいました。僕は逆に“こもる”のが好きなので、もともとあった玄関横の部屋を自分専用の仕事部屋にしています。

光が差し込む明るいリビングを2間から1間に拡大し、広々とした空間に
美しい眺望のため室外機を移動
Co-DESIGN OFFICEに依頼したきっかけを教えてください。
Iさん(奥様):こちらの希望や「こうしたい」というアイデアを、いちばん“面白がって”聞いてくれた会社さんでした。打ち合わせもすごく楽しくて、一緒に家づくりをしている感覚がありました。
Iさん(旦那様):一方的に提案されるのではなく、僕たちのやりたいことを整理しながら、一緒に進めてくれた感じです。「じゃあどうしましょうか」と“伴走”してくれたのが心強かったですね。あと、こちらの希望だけでなく、「ここは絶対直した方がいい」とプロの視点でアドバイスくださったのは、ありがたかったですね。
例えばどの部分ですか?
Iさん(旦那様):実は、玄関から入ってリビングの扉を開けた真正面に当たるベランダに室外機が置いてあったんです。それも通常のものよりだいぶ大きな。それを見たCo-DESIGN OFFICEの藤澤さんが「せっかくのこの贅沢な景観を邪魔している! もったいない!」と、ベランダの奥に移動することを提案してくれたんです。
実はこの室外機を移動するのは、配管が隠されていて施工としてはあまりやりたくない作業だったそうなんですが、それを自らご提案してくださったんです。「どうしても許せない」と(笑)。結果、本当に移動してもらって良かったと思います。スッキリとした美しい眺望が手に入りました。
移動させた室外機の周りに、DIYで木製のカバーをつけたそうですね。
Iさん(旦那様):せっかくの景観なので、さらによい見栄えにしようと思い頑張りました。ホームセンターで木材を買ってきてミリ単位で計算してカットしたり、うまく風が通り抜けられるように考えたり、やってみたら結構大変な作業でした(笑)。
Iさん(奥様):ほかにもワークスペースの棚やローテーブルをつくるなど、いろいろと手を加えました。ただ、DIYで全てをやるのは難しいので、プロの手で仕上げてもらう部分と、あとから自分たちで作る部分をうまく分けました。
Iさん(旦那様):Co-DESIGN OFFICEさんにもDIYをしていきたい旨を伝え、ご理解いただいていました。初期段階で「ここに将来棚をつけるかも」と伝えて壁に下地を入れてもらうなど、設計の時点でDIYしやすいよう配慮してもらいました。あとで困らないようにと、壁の中に隠れてしまう下地の写真も残してくださってありがたかったですね。

光が入るようオープンに設置された奥様のワークスペース
こもるのが好きな夫がリビングで過ごすように
暮らしの中で変化はありましたか?
Iさん(奥様):家で過ごす時間がすごく好きになりました。カフェに行くより、ここでお茶したり、料理したりするほうが心地いいんです。家具や器もお気に入りのものをそろえたので、自然と“丁寧な暮らし”に近づいていっている気がします。
Iさん(旦那様):こもるのが好きな自分は、以前はリビングで過ごすという感覚がなかったんですが、今は結構長い時間リビングにいます。これまでは、休日にのんびりするときもワークスペースにいることが多かったのですが、今はリビングのソファにいることも増えました。自分でも驚くほど、居心地がよくて好きな場所になりました。
今後はどのような暮らしをしていきたいと思っていますか?
Iさん(奥様):実は現在妊娠中で、もうすぐ赤ちゃんが生まれるんです。生まれたらリビングにベビーベッドを置いて、おもちゃコーナーを作ったり収納を増やしたり、必要に応じてDIYもしながら対応していきたいと思っています。最初から作り込みすぎず、「変化していける余白」がある家にしてよかったです。
Iさん(旦那様):暮らしのステージが変わっていく中で、家も変化していける。今はそのスタート地点にいるような気がしています。

取材・文/磯部麻衣 写真/黒坂明美